こんにちは、ゆまコロです。
レイモンド・カーヴァー、村上春樹(訳)『頼むから静かにしてくれ Ⅰ』を読みました。
短編集とは、ちょっと嫌な展開へ転じ、そこで終わる、というものなのか、それとも、村上春樹がネガティブなラストの短編を好んで選んで訳しているのか。
いずれにせよ、少々間の悪い場面の日常を覗いてしまったようで、なんとなく居心地が悪い読後感が続きます。
その中で、気に入ったのはこの2編。
●What's In Alaska?(アラスカに何があるというのか?)
「「子供たちは元気?」とメアリが尋ねた。
「ああ、元気にしているよ」とジャックは言った。そしてチューブをくわえた。
カールはクリームソーダを一口飲み、パイプの中の泡を見ていた。それは潜水夫のヘルメットから上がってくる泡を思わせた。ラグーンと、美しい魚の群れを彼は想像した。」
この話、短いのだけど、「なんでみんなこんなにクリームソーダに夢中なんだ…?」ということが気になっているうちに終わります。話の中に出てくる「ポプシクル」というのも気になります。
●What Do You Do In San Francisco?(サンフランシスコで何をするの?)
「明らかに私を待っているのだ。私の姿が見えると、彼は立ち上がって、ズボンの尻を払い、郵便受けまでやってきた。もし私が彼宛の手紙を持っていたりすると、私がそれを手渡せるところに行く手前から、差出人の名前を読みとろうとした。我々はほとんど言葉を交わさなかった。たまたま目が合えば軽く会釈をする程度だったが、それもかなり稀なことだった。でも彼は苦しんでいたし、それは誰が見ても一目でわかった。できることなら、私だって彼を助けてやりたかった。でも何と言えばいいのだろう。」
この、郵便を心待ちにする様子の描写が好きです。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
- 作者: レイモンドカーヴァー,Raymond Carver,村上春樹
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/01/01
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