こんばんは、ゆまコロです。
この本を読んで初めて「医局制度」(医学部六年間を卒業した医学生が病院に就職せず、大学病院の医局に所属すること。)という言葉を知りました。
本を書いているのは地域医療に携わるお医者さんです。
ディテールに現実味がありました。
ちなみに医局とは、大学医学部・歯学部の附属病院での診療科ごとの、教授を頂点とした人事組織。日本のみに存在する医師の私的団体なのだそうです。(ウィキペディアより)
好きな箇所はこの二つ。
「私が学士殿に出会った五年前から学士殿はずっと博士課程に身をおいている。出会った時、すでに相応の年月を「博士課程」で過ごしているようだったから、通算かなりの年月が経過しているようだ。いつまで在籍できるものなのかは知らぬが、学士殿はいたって落ち着いたものであるし、そういうつまらないことを仔細に問いただすような無粋な人間はこの「御獄荘」にはいない。
だいたい学問をするのに必要なのは、気概であって学歴ではない。こういう当たり前のことが忘れられて久しい世の中である。」
「病いの人にとって、もっとも辛いことは孤独であることです。先生はその孤独を私から取り除いてくださいました。たとえ病気は治らなくても、生きていることが楽しいと思えることがたくさんあるのだと、教えてくださいました。
万が一、先生が何事かにつまづき自信をなくしてしまうようなことがあった時は、私は声を大にして言います。
私は先生のおかげでこんなにも楽しい時間をすごせました、と。
もしかしたら、夫が亡くなってからの三十年でもっとも楽しい時間ではなかったか、と。」
お医者さんの生活がリアルなので、主人公とその奥さんの生活が逆にメルヘンチックというか、少し夢見がちな感じで、若干気になってしまいました。(こうはならないのではないかな?というような)
好き嫌いが分かれるかもしれません。
最後まで読んで下さってありがとうございました。