ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

ハーマン・メルヴィル、及川甚喜(訳・文)『白鯨』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ハーマン・メルヴィル、及川甚喜(訳・文)『白鯨』を読みました。

 

捕鯨船の乗組員の給料や、拝火教(火をあがめ、火を神とする宗教。)のことなど、発見が多く面白かったです。

 

クジラの描写が好きです。

 

「なお、見れば、むこうのほうに、わずかにもたげた頭の大きな輪になったしわさえも、ながめられる。そして、はるか前面の波の上には、大きい乳白色の白びかりのかげが、ひろびろと動いてすすみ、さざなみがそのかげにじゃれついていた。さらに、巨鯨のうしろのほうには、泳いだあとの堂どうとした航跡が、移る谷間のように残り、青い波がこもごもそのなかにおどりこむ。鯨の両側には、輝く水のあわが、わき腹からわきたちはねあがる。そこから分かれた水は、はてしないうねりとなり、しなやかにひろがって行く。

 そのながめをいっそうにぎやかにしているのは、柔らかに海面をおおった、おびただしい海鳥の軽やかな足どりと、気まぐれな群れだちとであった。」

 

作者のメルヴィルは18歳でイギリス通いの貨物船の水夫になったというから、エイハブ船長と同じ年ぐらいから船に乗っていることになります。

捕鯨船は、鯨に出会っても、出会わなくても過酷な旅だと思いましたが、鯨の描写はリアルで、雄大さが伝わってきました。

イシュメール(主人公)が、海に放り出された時、病気の時のクィークェグが大工に作らせていた丸木舟の棺桶につかまって助かった、という伏線も良いと思いました。

しかし、想像以上のバッドエンドでした。

 

読んでよかった感は大きかったです。

かっちりとしていて割と好きな訳でしたが、全集の一部のため、同じものがアマゾンにはなく…。違う訳者のリンクを貼りました。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

白鯨 上 (岩波文庫)

白鯨 上 (岩波文庫)