ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

スベトラーナ・アレクシェービッチ『チェルノブイリの祈り』

おはようございます、ゆまコロです。

 

スベトラーナ・アレクシェービッチ、松本妙子(訳)『チェルノブイリの祈り』を読みました。

 

作者がノーベル文学賞を受賞した時、初めて名前を知りました。本書は物語というよりは、インタヴュー集のような形ですが、チェルノブイリ原発事故の当時、その近くにいた人々の言葉は、とても重みがあります。

 

「病院での最後の二日間は、私が彼の手を持ちあげると骨がぐらぐら、ぶらぶらと揺れていた。骨とからだがはなれたんです。肺や肝臓のかけらがくちから出てきた。」

リュドミーラ・イグナチェンコ(消防士の故ワシーリイ・イグナチェンコの妻)

 

これはどういう状態なのか読んだ時は想像しにくかったのですが、その後、テレビで当時の患者の映像を見た時、本当に彼女の記述通りだったので驚きました。

 

共産主義者が国民をだまし、真実を隠したのだと。しかしわれわれにはそうする義務があった。中央委員会や党の州委員会からの電報で、われわれは課題を与えられたのです。パニックを許すなと。パニックは、実際、恐ろしいものです。当時チェルノブイリの報道が監視下に置かれたが、過去には戦時中に前線からの報道がこのような監視下に置かれたことがあっただけです。われわれには義務があった…。全員がすぐにかくしたかどうか。だれも起きていることの規模を理解していませんでしたから。政治的利益が最優先されました。」

マトベエビッチ・イワノフ(スラブゴロド党地区委員会、元第一書記)

 

これは、共産主義国家だけの話なのか、日本にいる自分でもよくわからなくなることがあります。

 

原子力発電所について考えた時、多くの人に読んでほしいと思いました。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)