ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

比嘉富子『白旗の少女』

おはようございます、ゆまコロです。

 

比嘉富子『白旗の少女』を読みました。

 

彼女が沖縄戦で遭遇した旧日本軍の兵士の様子や、避難中で弟を亡くしたこと、また避難時に辿った道を振り返ると、よく生きて避難できたな、と恐ろしくなります。

 

道中出会ったウサギのニイニイは、逃げる場所を変えることで、結果的に筆者を焼夷弾から救います。

 

「きっとお母さんが、一人ぽっちになってしまったわたしをあわれんで、米須で亡くなったニイニイをウサギにかえて、わたしのところへつかわしてくれたのだ。そうだ、きっとそうだ。」

 

切ない場面ですが、ここが一番好きです。

 

そしてこの後出会う老夫婦との出会いが、彼女の命を直接的に助けることになります。

ガマ(防空壕)に隠れていた夫婦は、自力では脱出出来ないけれど、筆者が戦場を歩いていても攻撃されないよう、白い旗を作ってくれるのです。

 

「「ナアー、ヌブティイ、マーダイ?(もう、のぼったか、まだか?)」

かぼそいけれど、はっきりした声でした。

  わたしは、その声にあと押しされるように、ガマから外へと出ました。わたしの小さなおしりが穴から外へ出ていくさまを、おじいさんは、どんな気持ちで見送ったことでしょう。また、おばあさんは、どんな気持ちで、「ナアー、ヌブティイ、マーダイ?」といったのでしょう。

  わたしは、このときの二人の心情を思うと、いまでも、涙があふれてとまらなくなります。」

 

自国の兵士と敵が、自分の住んでいる土地で戦っているとしたら、果たして生き延びられるのか。

改めて、今の世の中に感謝の念が生まれます。

 

読んで下さってありがとうございました。

 

白旗の少女 (講談社青い鳥文庫)

白旗の少女 (講談社青い鳥文庫)