ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

壺井栄『二十四の瞳』

おはようございます、ゆまコロです。

 

先日、小豆島に行く前に、壺井栄二十四の瞳』を読みました。

 

一度小学生の頃に読みましたが、その頃は何も響かず…。(壺井栄先生、申し訳ありません。)

何か感じ方など変わっているかな、と思い再読しました。

 

先生の生徒一人一人への優しい眼差し、

母と子の戦争の受け止め方の違い、

葛藤と苦しみの残る話でした。なぜ昔はなにも感じなかったのか不思議です。

 

先生が落とし穴にはまって怪我をした後の話が好きです。

 

「ゴザをしいた船の胴の間に横いざりに坐った足を、袴はうまく隠して、深い紺青の海の上を、船は先生の心一つをのせて、櫓音(ろおと)も規則ただしく、まっすぐに進んだ。二か月前に泣きながら渡った海を、今はまた、気おいたつ心で渡っている。

「なんせ、ひどい目をみたのう。」

「はあ。」

「若いもんは、骨がやらこい(やわらかい)から、折れてもなおりが早い。」

「骨じゃないんで。筋ともちがう。アキレス腱、いうんじゃがのう。骨よりも、むつかしいとこで。」

「ほう、そんなら、なおいかん。」

「でも、ひどい目にあわすつもりでしたんじゃないさかい。怪我じゃもん、しょうがない。」

「そんな目に  おうても  わかれの  あいさつとは  気のえいこっちゃい。」」

 

二十四の瞳映画村に学校やお家のセットがありました。

作中では島が台風の被害を受けるエピソードがあるのですが、この建物の上を台風が通過するのか…と思い怖くなりました。

 

帰り道、土庄港から出る船上から海を見ると、この先もずっと平和であって欲しいと願うばかりでした。

 

読んで下さってありがとうございました。

 

二十四の瞳 (角川文庫)

二十四の瞳 (角川文庫)