ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

ロレッタ・ナポリオーニ『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』

こんにちは、ゆまコロです。

 

ロレッタ・ナポリオーニ、村井章子(訳)、池上彰(解説)『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』を読みました。

 

大学で中東史の講義を半年受けましたが、難しくてほとんど頭には残っていませんでした。熱心に教えて下さった先生に申し訳ない気持ちです。

 

少し前の本ですが、薄いので分かりやすいかもしれない、と期待して手に取りました。

作者はテロ組織研究をしているローマ出身の女性です。語り口は臨場感があり、興味深かったです。

 

ちょっとだけ、イスラム国の主張がわかりかけたような気がした記述がこれです。

 

「そもそもアル・バグダディ(「イラク・レバントのイスラム国(ISILまたはISIS)」の最高指導者で、「イスラム国」のカリフを宣言した。)が2011年にシリアに潜入したのは、アサド体制の打倒とは無関係であり、むしろ新しいカリフ制国家の領土となるべき地域から、アラウィー派を排除することが目的だった。ここでもまた、ナチス・ドイツが唱えたアーリア人種の優越性説との類似を指摘できる。ヒトラーが架空の優生学的見地からユダヤ人の絶滅を正当化したように、「イスラム国」は背教者宣告(タクフィール。信仰や行動がイスラム教の理想から逸脱したムスリムに対してなされる。)の名の下にイスラムの宗教的「純化」を実行している。シーア派を始め、サラフィー主義以外を信仰する人間は誰であれ、異教徒として死に値する重大な罪を犯しているとみなされるのである。」(p143)

 

怖いエピソードも多く、頭がパンク状態です。人名も馴染みが薄く、なかなか覚えられません。

もう少し、イスラム教について知りたいと思いました。

 

ドキュメンタリーがお好きな方にオススメです。

 

読んで下さってありがとうございました。

 

イスラム国 テロリストが国家をつくる時

イスラム国 テロリストが国家をつくる時