ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

ゴッホ展に行ってきました。

おはようございます、ゆまコロです。

 

東京・台東区上野の森美術館で開催中の「ゴッホ展」に行ってきました。

 

今回のゴッホ展の見どころは、彼の10年の画家生活の中の二つのスタイル、「ハーグ派」と「印象派」にスポットを当てているところだと思います。

 

ゴッホは親戚で画家だったアントン・マウフェから、形態や質感のとらえかたや、画材の扱い方を習っています。

 

その後、ハーグ派(フランスのバルビゾン派による写実主義の影響を受けた。くすんだ色調が特徴。1860年から1890年まで)の画家たちと交流を深めます。

 

今回、ハーグ派の画家たちの作品や、ゴッホの初期の頃の作品が集まっています。

特に、独学からハーグ派の画家たちに出会う頃は、言われてもゴッホの絵とは思えないような、違った印象の絵が目立ちます。

始めは農民画家を目指していたゴッホの、目の前に生きる人々の暮らしを写しとろうとする、真剣なまなざしが伝わってくるようです。

 

展示を見ながら感じたことはこちらです。

 

●始めの頃の作品のひとつにあった、「1882年、娼婦と同棲。師マウフェ、父との関係が悪化する。」という解説板がちょっとかわいそうだなと思いました。

 

●「秋の夕暮れ」(1885年)

一見ゴッホっぽくない絵なのですが、静かな秋の風景がとても落ち着いていて良いなと思った絵です。

 

●「花瓶の花」(1886年夏)

この頃ゴッホは、アドルフ・モンティセリという印象派の画家の影響を受けています。(彼を誉めている内容の手紙のパネル紹介があります。)モンティセリの静物画もいくつか展示されているのですが、厚い塗りとはっきりとした色調が、なるほど確かに似た感じがしました。

 

印象派を代表する画家たちの作品が30点ほど来ているのですが、この展示もまた見ごたえがありました。

ライ麦畑、グラット=コックの丘、ポントワーズ」(カミーユピサロ、1877年)と、「レザンドリー、橋」(ポール・シニャック1886年)が良かったです。

 

●「タンギー爺さんの肖像」(1887年1月)がある。

ゴッホの絵を気に入ってくれた画材店兼画商の方です。かなり印象派っぽくなってきているのが見て取れます。彼がモデルとなったゴッホの絵はいくつかありますが、今回展示されている「タンギー爺さん」は、モデルの優しい人柄が伝わってくるかのような、穏やかな印象の絵です。

 

●「サン=レミの療養院の庭」(1889年5月)

耳切り事件を起こした後、ゴッホはこの療養院で一年ほど過ごします。

この絵について「さほど塞ぎこんでいるわけではないということがきみにも伝わるだろう」と、弟テオ(テオドルス)への手紙で書いているように、勢いのある樹木や、道の草花からは、強い生命力のようなものを感じました。

 

●「糸杉」(1889年6月)

墓場に植えられることから死の象徴ともとられる糸杉ですが、ゴッホは画家として受けた挑戦状のモティーフであるかのようにとらえている手紙が残っています。

その色と形をなんとかつかまえようと画策している様子が伝わってくるかのような力強さです。

 

祝日の開館10分前に着きましたが、もうすでに50人以上の列ができていて、人気の高さがうかがえました。

 

会場内は、少し並びながら観れば、まあじっくり観られるかな、くらいの混雑具合でした。

 

でも約40点のゴッホ作品を一度に見られることはあまりないので、お気に入りの作品を見つけに行ってみると良いのではないかと思います。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

go-go-gogh.jp

 

 

「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」に行ってきました。

おはようございます、ゆまコロです。

 

東京・六本木の森アーツセンターギャラリーにて開催中の「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」に行ってきました。

 

行ったのは10月の祝日、開館30分前に入口に着きました。同じフロアで3展覧会同時に開催しているからか、チケット売り場は結構並んでいました。(開館直前には自動ドアの外まで溢れそうでした。)

 

ちなみに、チケットを持っている人とこれから購入する人は違う列に並び、既に持っている人向けの窓口の方が多いので、前売りや招待券などを持っていなくても、セブンイレブンなどで事前に当日券を買って向かった方が若干スムーズかと思われます。

 

会場は大きな作品が多く、それほど混雑していて見えない、というほどでもなかったです。

 

写真撮影OKな作品(10点くらい)と、オーディオガイド(チケット代に含まれています)の解説がある作品は、目の前に行くまでに少し時間がかかるくらいでした。

 

自由に綴られるノートへのドローイング達や、差別され、鬱屈する感情をぶつけたようにも見える力強い筆致の作品、時代の寵児となった頃の作品、不安を抱え、空間を埋めるように描かれた大きな作品など、感情がダイレクトに伝わってきます。

 

スプレー缶で広い面に文字を綴る彼の映像を見ると、彼がまだ生きていて、言葉を発し続けているのではないかと思うほどでした。

 

読みやすくて、特徴のある(大文字のEの、左の縦棒がない)アルファベットの書き方がちょっと可愛らしいです。折り紙のパッケージに書かれた日本語を真似して描いているのがなんだか微笑ましかったです。

 

怖いほどのエネルギーが伝わってきましたが、自由にふるまっていい、という後押しをされているかのような力強さも感じました。

 

東京・港区の森アーツセンターギャラリーにて開催中〜2019/11/17(日)まで。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

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「不思議の国のアリス展」に行ってきました。

おはようございます、ゆまコロです。

 

横浜のそごう美術館にて開催中の、「不思議の国のアリス展」に行ってきました。

 

10月の日曜日に出かけました。

そごうの前は10時の開館前からいっぱいでしたが、6階の美術館には一番乗りで入りました。

出る頃にはグッズショップにお客さんがあふれていましたが、展示が観にくい程の混雑ではなかったです。

 

作者のルイス・キャロル(本名チャールズ・ラトウィッジ・ドッドソン)の生い立ちや交友関係などが分かる、興味深い展示でした。

 

私がいいなと思ったのは以下の点です。

 

  • ダリの描いた挿絵がある。

アリスの世界でさえも、ダリが描くとダリの世界観になっているのが面白かったです。

かといって、物語とかけ離れた絵なのかというとそうでもなく、読者がイメージをふくらませやすそうな絵なのが凄い。色彩も鮮やかで彼らしいと思いました。

キノコの絵が可愛かったです。

「チェシャねこいもむし」が、一目で、ああ、エリック・カールさんだと分かります。グッズにもなっていて愛らしいです。

  • アーサー・ラッカムの原画がある。

ゆまコロは今回、この展示を楽しみに行きました。

大好きな挿絵画家さんですが、原画を見たのは初めてです。

カエルと一緒にいるときの、アリスのお洋服が好きです。(あまりアリスっぽくない服装ですが。)

繊細なペン画に、つい息を止めて見入ってしまいます。

 

当時のイギリスで郵便制度が発達したことを受け、アリスの切手ケースの販売を考案したり、舞台化を希望したりと、ルイス・キャロルは商売も上手だったことがうかがえます。

 

他にも、トーベ・ヤンソンさんが挿絵を描いた本(洋書)も展示&販売されており、この作品がいろいろな国で愛されていることがよく分かりました。

 

 

 

 

www.alice2019-20.jp

 

リアル脱出ゲームとのコラボもあり、ますますの広がりを感じさせる展示でした。

写真撮影OKのスペースもあり、親しみがあって良かったです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。f:id:hamletclone:20191006222908j:image

「チェコ・デザイン100年の旅」に行ってきました。

おはようございます、ゆまコロです。

 

東京・世田谷美術館で開催中の「チェコ・デザイン100年の旅」に行ってきました。

 

アルフォンス・ミュシャの絵が好きなので、チェコつながりで興味を持ち、行ってきました。

 

9月の日曜日に行きましたが、開館5分前くらいで、外に待っている人は3人ほどでした。会場内は1テーマ(1章)に10人くらいのお客さんの入りで、それほど混雑している、という感じでもなく、見学しやすかったです。

 

1894年から、2012年までの、チェコのデザインを象徴するものが展示されています。

 

食器、椅子、ランプ、バイク、書籍、ポスター、玩具など、ジャンルは多岐にわたります。

 

その中で個人的に気に入ったのは、

  • ジー・シュハーイェクの「花瓶」1999年

<四季>シリーズの2品です。一つの花瓶の中で、ブルーからパープルへ、もう一つはグリーンからイエローへと、グラデーションになっている色が綺麗です。

 

プラスチック製のおもちゃです。

胴体が蛇腹になっています。両手に乗るくらいのサイズですが、どんな音が鳴るのか気になります。

 

また、ミュシャ作品はリトグラフが5点ありました。

他に、ミュシャがデザインしたチェコの紙幣が展示されているのがファンとしては嬉しいところです。

 

「1930年代:シンプルなかたちと機能性」の章で見られる食器のモダンなデザインは、逆に新しさを感じました。ちょっと遊び心のある無印良品のような感じです。

 

「1950-60年代:日常生活と応用美術の開放」の章では、掃除機と『世界文学』という本の装丁が素敵でした。装飾的すぎない、そっけないデザインが親しみやすいです。

 

ミニマリストのお部屋にありそうな、シンプルなデザインのものが多く、どれか購入できるとしたらどうしようか、などと考えてしまいます。

 

まだ訪れたことのないチェコですが、ちょっと身近に感じられる展示でした。

 

東京・世田谷美術館にて開催中~2019年11月10日(日)まで。

www.setagayaartmuseum.or.jp

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。f:id:hamletclone:20190922201744j:image

「コートールド美術館展 魅惑の印象派」に行ってきました。

こんにちは、ゆまコロです。

 

東京・上野の東京都美術館にて開催中の「コートールド美術館展 魅惑の印象派」に行ってきました。

 

9月の日曜日、9:30の開館の5分前に着きましたが、もう既に30人以上の列が出来ていました。

 

ただ、少しづつ会場に入れて下さったので、中はそこまで大混雑して作品が観にくい、というほどではなかったです。

 

今回の作品で私が良かったと思ったのはこちらです。

 

  • 『フォリー=ベルジェールのバー』を購入した時の領収証がある。

コートールド氏が1926年に、画廊からこの絵を購入した時の領収証が飾られていました。この絵が展示されている部屋よりも前の部屋にあるので、むやみに期待が高まりました。ちなみにお値段は110,000ドルとあります。

 

  • ジョルジュ・スーラの作品が5点来ている。

印象派に分類される画家です。点描技法でよく知られています。

「クールブヴォワの橋」という作品が大きなパネル(ラーニングウォールというらしい)で紹介されており、点描の手法と彼が狙った効果について知ることができます。

点描で表現する煙突の煙がすごいと思いました。

 

ポール・シニャックはジョルジュ・スーラと並ぶ、新印象派の画家です。

1作品だけでしたが、海辺が好きなシニャックらしい、カラフルで心躍る作品でした。

 

  • シャイム・スーティンの作品がある。

ロシアの画家です。彼の絵は人物の構図もタッチも歪んでいるように見える作品が多いのですが、人物の印象や心情を絵画に定着させようとする目的から、極端なデフォルメとなるのだそうです。インパクトがあり、前に立つとなかなか目を離せなくなります。

 

(個人的に興味を惹かれたところなので、偏りがあることをお詫びいたします。)

 

コートールド氏はセザンヌ作品の収集に力を入れていたとのことで、肖像画静物画もあり、見ごたえがありました。彼のアトリエが紹介されている映像もありました。

 

モネ作「秋の効果、アルジャントゥイユ」の中に描かれるオレンジ色の木立は、近くで見るとピンクや黄色の色彩で表現されているんだな、などと思いながら、秋の訪れを感じるのも趣深いです。

 

グッズも素敵でした。

「画家の年表Tシャツ」が可愛い。

画家21人の年表がシルクスクリーンで印刷されています。

(触ると文字がもこっとしています。)

 

courtauld.jp

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

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「みんなのミュシャ」展に行ってきました。

おはようございます、ゆまコロです。

 

東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「みんなのミュシャ」展に行ってきました。

 

8月の平日、開館時間の30分ほど前に到着し、一番前で待っていました。開館時間の10時少し前には行列は20人ほど。

 

入口付近は少し混雑しますが、作品はポスターなど大きめなサイズが多く、人がいっぱいで見えないということも無かったです。

 

今回、心を動かされたのは、以下の展示でした。

 

磔刑図」(1868年)という作品です。

初めて見ました。十字架が立体的なうえに、遠くに街が描かれて遠近法を取り入れているのが分かります。8歳の描く絵って、こんな感じなのだろうか?と思いますが、これからミュシャがたどる道を考えれば、まあ妥当であるような気もしました。

 

  • 挿絵画家時代の作品がある。

ミュシャはパリでの初期苦闘時代、雑誌の挿絵で生計を立てていました。

今回の展示では、その挿絵が使われた書籍や、スケッチ、風刺雑誌のためのレイアウト図案なども展示されています。

本に載っている挿絵は緻密で陰影がはっきりしていて、一瞬写真が載っているように見えるほどです。モノクロで発表された作品を見ると、非常にデッサンが上手だなと感じるものが多かったです。

 

ミュシャが日本に与えた影響を表すものとして、藤島武二がデザインした『みだれ髪』の復刻版が展示されています。こうしてミュシャ作品の中に混じっていると、確かに藤島武二さんがミュシャを強く意識していることがよく分かります。

 

一緒に行った母がこの展示を楽しみにしていました。『ファイヤー!』の扉絵などを見ると、ミュシャの作品から受けた衝撃を自分の感覚に落とし込もうとしている漫画家さんの試みが伝わってきます。

 

 今回、一番長い時間見たのは『モナコモンテカルロ』(1897年)とその習作です。(展覧会のメイン・ビジュアルの緑色の方の絵です。)

何度も見たことのある絵でしたが、デッサンを見ると、「ここから完成形にするまでどのくらいの時間がかかっているのだろう?」と思うほど、大きなポスターの細部にまで、たくさんのディテールが書き込まれています。

女の子の頭上に鳥たちがとまっているのが、細やかに描かれていて可愛らしいです。ちょっとやそっとでは見飽きません。

 

鉄道の利用促進のためのポスターなのに、列車も旅行者も描かず、旅への期待を胸に空想している女の子を描いた、という解説板を見て、その演出に身もだえしました。

(ミュージアムショップには、この絵とペコちゃんがコラボしたクッキー缶もありました。)

 

また一部、写真撮影が可能な部屋もあります。

 

過去2回、他の場所で開催されたミュシャ展に行ったことがありますが、また違った切り口からの展示で、とても面白かったです。

ミュシャ、前にも観たしな~」という方にも観て頂きたい。きっとまた違う一面が見られるはずです。

 

東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムにて開催中〜2019年9月29日(日)まで。

www.ntv.co.jp

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。f:id:hamletclone:20190817175135j:image

メスキータ展に行ってきました。

おはようございます、ゆまコロです。

 

東京ステーションギャラリーにて開催中のメスキータ展に行ってきました。

 

サミュ工ル・イェスルン・デ・メスキータ(1868-1944)は、アムステルダム生まれのユダヤ系オランダ人です。建築を学び、その後美術の世界に転じます。

 

M.C.エッシャーの先生ということで、年始頃から気になっていました。

 

会期終了の1週間前だったので、開館時間の5分くらい前に着きましたが、すでに30人ほど行列ができていました。

 

東京・丸ノ内東京ステーションギャラリーにて開催中~2019年8月18日(日)まで。

 

www.ejrcf.or.jp

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

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