ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

平塚武二『アラビアン=ナイト』

おはようございます、ゆまコロです。

 

『アラビアン=ナイト』を読みました。

 

この物語は、1704年フランスのアントワン・ギャランという人が書いた「千一夜」という本によって、欧州中に広まったのだそうです。

 

「アラビア」とは、インドとアフリカの間、メソポタミア地方の南、西南アジアにあった国なのだそうです。東はペルシア湾とオーマン湾、南はアラビア海、西は紅海、北だけアジア大陸と地続きの半島。1/3が砂漠で、夏は48℃以上。この場所で物語の本としてまとめられたのは、700年くらい昔と言われているそう。

 

「「化けものにつりつかれるなんて、もともと女には化けものじみたところがあるからだ」

と(王さまは)女がきらいになってしまった。美しい女、かわいらしい女ほど、王さまは憎らしかった。王さまは、毎日ひとりずつ若い娘をじぶんの城に呼びよせて、ひと晩だけおきさきにすると、あくる朝には殺してしまった。」

 

という導入がすごいです。

 

短い話がいくつも詰まっているのですが、意外にも、結末はハッピーエンドの物語が多いです。

 

好きなのは

「つぼ裁判」と「ダイヤモンドよりすてきな少女」という話です。

 

古さを感じさせない、素敵な本でした。

 

最後まで読んで下さりありがとうございました。

 

私が読んだのは、小学館の全集の中におさめられている話だったので、今は販売されていないようでした。

アマゾンのリンク先は違う訳者のものです。

 

アラビアン・ナイト (福音館古典童話シリーズ)

アラビアン・ナイト (福音館古典童話シリーズ)

 

 

ルーベンス展に行ってきました。

おはようございます、ゆまコロです。

 

東京・上野の国立西洋美術館で開催中の「ルーベンス展ーバロックの誕生」を観てきました。

 

10月の土曜に行った時は、開館20分前に着いたのにすでに100人ほど並んでいたので、仕切り直して、翌月別の金曜日に行ってきました。

 

開館から1時間半後、外に人は並んでいなかったものの、中は結構混雑していました。

サイズの小さな絵の前などは、割と人が滞留しています。

 

生前から絵の注文が殺到し、弟子もたくさんいて、外交官の仕事も任されていたというルーベンスですが、たしかに一枚一枚の緻密さ、リアルさは、側で見ると圧倒されます。

 

入ってすぐの部屋に、4k映像で見られる「キリストの降架」があるのですが、女の子の頬を伝う涙の立体感の凄さ…。こんな状況下に自分が立っていたとしても、細部までこんなにくっきり見てないのでは、と思うようなリアルさで、どこを見ていいのか、しっかり見ようと思っても、かえって呆然としてしまいます。

 

かなりの数のルーベンス作品でとても見応えがありました。私が今回観たかったのは、「セネカの死」という作品です。自害を命じられ、毒を服用し静脈を切られてもまだ生きていたというセネカの、青白い表情と流れる血液の赤。尋常ではない生命力の描写が大変迫力がありました。

また、あまり観られないグイド・レーニの大きな作品(「ヒュドラ殺害後休息するヘラクレス」)があったのも良かったです。

 

ネロ(「フランダースの犬」の主人公)も憧れたルーベンス作品があるのは、ベルギー・アントウェルペンの聖母大聖堂なのだそうです。

この大聖堂は前出の映像にも出てきましたが、白が基調のゴシック様式で、とても美しい内部でした。いつか行ってみたいです。

 

東京・上野の国立西洋美術館

開催中〜2019.1.20まで。

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ムンク展に行ってきました。

おはようございます、ゆまコロです。

 

東京都美術館(上野)で開催中の、

ムンク展ー共鳴する魂の叫び」に行ってきました。

 

開館15分前くらいに到着したけれど、すでに門の前(エスカレーターを降りる前です。)には100人くらいの列が出来ていました。

学生さんの団体もたくさん並んでいます。

 

5分前くらいに開門し、エスカレーターを降りて、ようやくチケットを持っている人・持っていない人に分かれます。

 

チケットを持って進むと、チケットを切って下さるところでまた行列でした。ここで何人かずつ、区切って、ようやく展示室に入れました。

 

ただ、比較的大きなサイズの作品が多いからか、中はそれほど大混雑という感じでもなかったです。

(金曜日の開館とほぼ同時入室だったからかもしれません。)

 

床に伏せっている絵や、病の最中を描いた絵がいくつもあり、5歳の時に母親を、その9年後に姉を結核で亡くしたというムンクの、大きな悲しみが伝わってくるようでした。

それだけに、晩年の光にあふれた明るいタッチの絵には、安堵感があります。

 

「叫び」の置いてある部屋は、さすがに目の前で長く立ち止まれないよう、行列用の柵がありました。でも、列に並び直せば何度も見られます。

 

私が今回観たかったのは「疾駆する馬」という作品でした。ムンクの絵にしては、現実味のある生命力がみなぎっているというか(すみません)、躍動感があり、力強い印象を受ける絵です。

これは、彼が写真や映画など、当時の新しいメディアに関心があったことによる試みなのだとか。

 

グッズで良かったのは、ルピシア監修の紅茶です。

お茶が好きな方は、サンプルを嗅いでみて下さい。

缶も可愛い💕

 

多面的なムンクが知れて、大変面白かったです。

 

東京・上野の東京都美術館

開催中〜2019.1.20まで。

 

金曜日の開館15分前の様子。

行列は全部写真に収まりませんでした。

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小泉保『フィンランド叙事詩 カレワラ』

おはようございます、ゆまコロです。

 

小泉保『フィンランド叙事詩 カレワラ』を読みました。

 

ところどころ、どこかで聞いたことのある物語のような、でも全然知らない話のような、不思議な感じのする話です。

 

「カレワラ」という名は、この抒情詩がカレワKalevaの国の三人の英雄達の話であるところに由来しているのだそうです。

 

登場人物の名前があまりなじみがなく、覚えにくいところに難儀しました。

簡単な経緯は、こんな感じです。

 

19世紀初めまでフィンランドの農民たちによって口頭で語り伝えられてきたものを、1822年 トペリウスが一部分を集めて発表する。

1835年 レーンロットがへんぴな地方を旅し、抒情詩を筆記して歩き、一万二千行の詩を集め、三十二の歌にまとめて、聞いた通りの言葉のまま発表する。

1849年 五十の歌にまとめた第二版が出版される。

 

好きなところは、空気の城からおりてきたイルマタルがワイナモイネンを生み、巨人トゥルサスやわしと一緒に大地を創っていく冒頭部分と、アイノが魚になってしまったことを、くまとおおかみときつねとウサギが、彼女の母親に知らせに行くところです。

 

イマジネーションの世界を膨らませたいときなど、なかなか面白いかもしれません。

 

最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

カレワラ 下―フィンランド叙事詩 (岩波文庫 赤 745-2)

カレワラ 下―フィンランド叙事詩 (岩波文庫 赤 745-2)

 

 

奈良美智『NARA 48 GIRLS』

おはようございます、ゆまコロです。

 

奈良美智『NARA 48 GIRLS』を読みました。

 

奈良美智さんの絵は、詩みたいに個人的に話しかけてくるような、不思議な孤独感があると思います。

 

「地図はないが

目の前には道がある

誰が歩んだ道か

知らないけども道がある

 

歴史上の偉人たちが

通った道かもしれないし

凡庸な人々が歩いた跡かもしれない

 

荒野を目指したいが

どれくらい歩いたら荒野が

待っているのだろう

 

書物や友や電話にメールと…

恵まれすぎているのかそうでないのか…

 

なんだか聖書の言葉が目に

聞こえた気がした。

 

貧しさも富も私に与えず、

ただ、私に定められた分の食物で

私を養ってください。」

 

何度か奈良美智さんの展覧会に行ったことがあります。

彼の描いた絵を実際に前にすると、そのパワーの大きさと、絵が放っている孤独感に圧倒されます。

 

その他の作品集もおすすめです。

 

最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

 

NARA 48 GIRLS

NARA 48 GIRLS

 

 

しまずこういち『マーフィーの黄金律(ゴールデンルール)Part2』

おはようございます、ゆまコロです。

 

しまずこういち『マーフィーの黄金律(ゴールデンルール)Part2』を読みました。

 

こちらの方が、1巻よりももっと具体的な悩みに対応しているように思いました。

 

いいな、と思ったのは、

 

「リラックスする一番良い方法は、リラックスしている自分を思い描くこと。」

という箇所でした。

 

試験場や交渉ごとなど、待ったなしの状況におかれた時こそ、リラックスする必要があるので、これは実際に自分がリラックスすることよりも大切なことなのだそうです。

 

「①過去の体験の中でゆったりくつろいだ時のことをイメージする。

(自分の部屋で静かに音楽を聴いている、公園で日光浴している、風呂上がりにくつろいでいる、など)

②2,3分でくつろいだ状態を作れるようになったら、試験場でスラスラと解答用紙を埋めていく自分の姿など、当面する課題が成就したイメージを思い描く。」

 

確かに、無駄に緊張しなそうな気がします。

でも、普段から意識していないと、実際にストレスフルな状況では思い出しもしないのでは?と思ってしまいました。

 

まずは、「どんな時に自分がリラックスしているか?」から振り返ることが必要だと思いました。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

 

マーフィーの黄金律(ゴールデンルール)〈PART2〉

マーフィーの黄金律(ゴールデンルール)〈PART2〉

 

 

トーベ・ヤンソン『たのしいムーミン一家』

おはようございます、ゆまコロです。

 

トーベ・ヤンソン『たのしいムーミン一家』を読みました。

 

ムーミンシリーズの3作目です。

物語の冒頭で、スナフキンも冬眠しているのが、ちょっと以外な感じがしました。

 

「ニョロニョロたちは、どうにかして気圧計をとりかえそうと、ヘムレンさんの上によじのぼって、みんなで気圧計にしがみついていました。もののこげるようなにおいは、いまでは、とてもひどくなっていました。

 スニフは目をさまして、しくしく泣きはじめました。そのとたんに、つんざくようなさけび声があがりました。一ぴきのニョロニョロが、ヘムレンさんの鼻をふみつけたのです。

 たちまちみんなが目をさまして、飛び起きました。大さわぎになりました。ニョロニョロはふみつぶされるし、スニフは感電しました。ヘムレンさんは恐怖のさけびをあげて飛びだしましたが、たちまち帆づなに足をひっかけてしまったので、小屋がドスンとみんなの上にたおれました。いやはや、まったくおそろしいさわぎでした。

 あとでスニフのいったところによると、みんなが帆布の下からはいだすには、少なくとも一時間はかかったそうです。たぶん、いくらかおおげさすぎるかもしれませんけど。

 しかし、みんながどうやら顔をそろえるまえに、ニョロニョロたちは気圧計をとって、林の中にすがたを消していたのです。それでも、あとを追いかけようというものは、ただのひとりもありませんでした。

 ヘムレンさんは、みじめにうめいて、鼻を砂の中につっこんでいました。

「これじゃあ、あんまりだ。どうして家もないまずしい植物学者が、しずかに平和な一生を送ることができないんだろ。」

こういって、ヘムレンさんはなげきました。

「生きるってことは、平和なものじゃないんですよ。」

と、スナフキンは、満足そうにいいました。」p121

 

そう言われてみると、ムーミン達の周りには、割とアンラッキーな出来事が起こります。

災害に見舞われたり(洪水や、隕石の落下)、欲しいものが手に入らなかったり(2作目でスニフがルビーを取って帰れなかったことなど)…。

 

本作に登場する "飛行おに" も、スナフキンによって語られる時は、結構不吉な印象があります。

(結末はちょっと違いますが。)

 

スナフキンが旅立ったあと、みんなから心配されるほど落ち込むムーミントロールが可愛いかったです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

 

たのしいムーミン一家 復刻版

たのしいムーミン一家 復刻版